みなさん、こんにちは。
神奈川県川崎市武蔵小杉駅で鍼灸接骨院をやっております武蔵小杉鍼灸接骨院 院長の石丸です。
鍼灸院では日頃から様々な症状の方がいらっしゃいますが、その中でも本日は「梅核気」(ばいかくき)について書いていきたいと思います。
梅核気はヒステリー球とも呼ばれ、病院で検査しても「異常なし」と言われるケースがほとんどです。しかし、東洋医学ではしっかりとした考え方があり、実際に鍼灸施術で梅核気が改善されるケースを今まで何件も見てきました。
このブログでは、なぜ喉の詰まり感「梅核気」が出るのか、なぜ鍼灸が効果的なのか、梅核気にオススメのツボをご紹介していきたいと思います。
目次
- 喉が詰まった感じ、本当によくなるの?
- ヒステリー球の原因
- 気滞が起こる理由
- ヒステリー球を解消する考え方
- 感情を分類する
- 感覚器を分類する
- 五つの分類を施術に生かす
- 滞っている気の巡りをよくするには
- 運動やストレス発散もとても効果的。
- 梅核気のツボ
- ヒステリー球緩和のセルフケア
- まとめ
喉が詰まった感じ、本当によくなるの?
喉に違和感がある、物が飲み込みにくい、苦しい感じがする。けれど実際には何も詰まっていない。
東洋医学では昔からある症状で、梅干しの種が喉につかえている感じと表現されることがあるため、梅核気と呼ばれています。
物理的にものが詰まっているわけではないので、症状はその時々で変わってくることが多いですね。例えばストレスがかかると悪化するとか、疲れがひどい時に顕著に喉のつまりを感じるとか、人によってはご飯を食べたり飲み物を飲むときに飲み込みにくくて気が付く方もいらっしゃると思います。
梅核気は目には見えない症状ですので、解消する方法も目には見えないものをどうにかしなければなりません。実は、一言で梅核気といっても原因は何パターンもあり、喉以外のその他の症状(耳鳴り、めまい、目のけいれん、動悸、倦怠感、自律神経失調症などなど)も総合的に聞いた上でどんなタイプのヒステリー球かを判断します。
このパターンを的確に見極めアプローチしていくのが、ヒステリー球解消のためには重要だと考えています。
ヒステリー球の原因
ヒステリー球の東洋医学的な原因から説明していきます。結論から先に言いますと東洋医学ではヒステリー球・梅核気は「気」の渋滞、気の停滞している状態と考えます。
身体の中には目には見えない「気」というものが流れており、東洋医学ではこれをとても重要視しています。よくエネルギーなどと例えられたりもしますね。気は24時間365日絶えず体の中をめぐっています。この気が身体を循環している状態が正常な状態と考えられていて、健康な状態といってもいいですね。
しかし、梅核気(ヒステリー球)では流れるべき気が滞ってしまいます。私達鍼灸師はこの気が渋滞している状態を【気滞】(きたい)と呼んでいます。渋滞なので流れが悪く詰まっている状態ですね。
次からは気滞は何が原因で起きるのかを、もう少し詳しく解説していきます。
気滞が起こる理由
ヒステリー球(梅核気)の東洋医学的な原因は【気滞】と先ほど書きましたが、この気滞は何が原因で起こるのでしょうか?
気滞が起きる原因の一つがストレスと言われています。ストレスというとメンタルのみの話と思われがちですが、精神だけではなく身体へ及ぼす影響もかなり大きいです。
東洋医学では【心身一如】(しんしんいちにょ)といいまして、精神の状態が身体に影響を与えると考えています。ストレスにより胃潰瘍になった、ストレスによってめまいが起きたなどは聞いたことがあるのではないでしょうか。
それは、ストレスにより体の中の気を循環させる機能が落ちることで気滞が起こると考えまして、この気滞によって身体的なダメージが起こると東洋医学では考えられているのです。
嫌な事があったり、気分が落ち込んだりすると梅核気の症状がひどくなるという経験がある方もいらっしゃると思いますが、それは気滞が悪化するために起こるんですね。
私の今までの経験では梅核気は女性に多く、更年期障害やうつ、自律神経失調症などを併発している方が多いという印象があります。これらの症状も気の循環が悪くて起きる場合もありますし、他の原因によって気のめぐりを低下させることに繋がったりもしています。
また運動不足や睡眠不足も身体の中の気の巡りが悪くなる原因の一つと考えます。身体の動きや呼吸、体調によっても気の流れは左右されますので、不摂生が続くと気滞は起こりやすくなります。
このように東洋医学では、様々な原因で目には見えない気の流れが渋滞してヒステリー球(梅核気)がおこると考えます。
ヒステリー球を解消する考え方
東洋医学では物事を五つに分けて考えることがよくあります。その中で、鍼灸施術では【五臓の働き】という分類を使って施術方針を決めていきます。
この五臓とは【肝】【心】【脾】【肺】【腎】の五つからなり、五臓には身体の中でそれぞれ役割分担があります。その役割を私たち鍼灸師は《機能》や《作用》と言ったりしています。※みなさんが考えている内臓の機能と東洋医学で考える機能は異なる部分がたくさんありますので、東洋医学の五臓として受け止めていただけるとうれしいです。
五臓の機能がきちんと働くことで身体の気の流れはバランスがとれ、それがいわゆる健康な状態と考えます。
感情を分類する
五つの分類には他にも感情を分類した【五志】というものがあり【怒】【喜】【思】【憂】【恐】の五つです。(五志は【悲】【驚】加えられた七情で考えることもあります)五志は人間だれしもが持っている感情ですが、長いこと同じ感情にさらされているとその感情に対応した臓器が傷つく(ダメージを受ける)と言われています。逆も然りで、臓器が弱ってくるとそれに対応した感情が出やすくなったりなくなったりします。対応している感情と臓器は《肝と怒》《心と喜》《脾と思》《肺と憂(悲)》《腎と恐(驚)》となっています。
感覚器を分類する
五つの分類には、目や耳の感覚器を分類したものもあります。【五官】と呼ばれ【目】【舌】【口】【鼻】【耳】の五つです。対応する臓器は《肝と目》《心と舌》《脾と目》《肺と鼻》《腎と耳》となっています。
五つの分類を施術に生かす
これまで説明してきた分類をどのように施術に生かすのかを説明していきますね。
例えば、日常的にストレスが多いタイプのヒステリー球の方はイライラしやすいなどの怒りの感情がでやすいため【肝】のツボを安定させるようなツボを選びます。
他にも耳鳴りやめまいを伴うようなヒステリー球のタイプなら耳に関係する症状があるので【腎】のツボが元気になるように計算しながら施術していきます。
動悸が激しく喉のつまりを感じるようなタイプでしたら【心】のツボを使い、自律神経失調症の症状もあるようなヒステリー球のタイプの方は【肺】のツボの状態がよくなるように意識して施術します。
また、睡眠不足で梅核気が悪化するような場合は睡眠をしっかりとれるように睡眠の質を上げるお灸でサポートしたりもしますし、食後に喉がつまる症状が悪化する場合では胃腸の機能を上げるお灸を交えて症状改善を狙うケースもあります。
このように一言で「梅核気」と言っても原因は様々で、どのタイプの梅核気かを的確に見極めて施術していくのが大切だと私は考えます。
滞っている気の巡りをよくするには
ここまでヒステリー球に対してどのような考え方で施術するのかを書いてきましたが、大前提として気が渋滞する『気滞』があります。上記の五つの分類にも書いた考え方は、その理由によって結果的に気が渋滞してしまいヒステリー球の症状が感じやすくなるととらえています。
ですので、ご自身でも気のめぐりを良くすることができれば、症状は感じににくくなります。ですが、根本的な原因はなかなか解消するのが難しいため、そこは鍼灸の出番となるのです。※ここで言う根本的な原因とは、先ほど説明しました五臓の働きが弱っていることを指します。
運動やストレス発散もとても効果的。
ご自身でできる気のめぐりを良くする方法としましては、まずは運動することですね。運動と言ってもウォーキングなどの軽いものやヨガやストレッチでも構いませんし、嫌いじゃなければジョギングや水泳などの負荷が大きなものでもいいと思います。
運動すると筋肉に血がめぐるようになります。この筋肉に血が流れることが実は気を動かすきっかけになってくれるので、一時的に気の渋滞が解消されます。ただし、疲れすぎてしまうのは逆効果なので、疲れるのしても気持ちよく疲れるくらいにしてください。疲れすぎた結果、気を動かす元気がなくなって、余計に気が動かなくなるとまた気の渋滞が起こってしまうので。
ストレスでヒステリー球の症状が出る方は、運動だけでなくカラオケやおしゃべりなど声を発することも向いています。他にも好きなことに没頭することもストレス発散になりますので、梅核気の症状が弱らぐと思います。ストレスが原因の方のポイントは【発散】です。渋滞してパンパンに溜まった気は発散させてあげることでガス抜きができ、それで気の渋滞が解消されやすくなるのです。
ですので、日常生活では梅核気=気の渋滞ですのでストレスの発散、運動やカラオケや趣味に没頭して時間を費やすなどで巡りを整えるのはとても効果的な解消法になりますね。
梅核気のツボ
梅核気のように喉のつまる感じでお困りの方にオススメしたいツボは、胸にある【膻中】(だんちゅう)です。膻中は胸から上の気が集まる場所であり、呼吸で体内に取り入れた気を調節する役割を持っています。なので、喉元で滞った気を流してくれるツボでもあるんですね。
膻中のツボの位置は胸の正中線上(真ん中)で、左右の乳頭(乳首)の中間にあります。ちょうど胸骨という、胸の真ん中にある縦長の骨上になります。
見つけ方は①体の真ん中のライン②左右の乳頭(乳首)を結んだライン③押してズーンと痛いところの3つがポイントになります。
この膻中のツボを30秒ほどやさしく押します。押すことに集中して息が止まってしまう方がいますが、できれば押すことよりも呼吸をきちんとすることに意識を向けながら押してください。押す向きですが、喉元に向かってです。
膻中は強く押すと痛いです。ツボは痛い方が効果があるように考える方もいらっしゃいますが、痛く感じるまで押す必要はありません。痛気持ちいい程度の刺激か、痛みなどを感じないくらいの刺激が理想てきです。
他の記事でもヒステリー球に効果のあるツボを紹介していますので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。
関連記事⇒【ヒステリー球】不快な喉の詰まり(つまり)をスッキリ解消するツボ3選!!
ヒステリー球緩和のセルフケア
ここからは日常生活で取り入れられる梅核気のセルフケアについて簡単に紹介していきます。
梅核気の原因で多く見られるのは、ストレスが原因のタイプです。今回のセルフケアは、ヒステリー球という呼ばれ方をするようにイライラ、キーキーしてしまうような激しい怒りの感情が出るような方におすすめのものになります。
怒りの感情と関係が深い臓器は【肝】になります。
肝のツボの機能には、気をすみずみまで行き渡らせるという役割がありますので、肝の機能が下がると気がめぐりにくくなります。この気をすみずみまで行き渡らせる効果の中に、気が行き渡ることで精神が安定するという作用もあるため、肝の機能が落ちるとイライラしやすくなったりするのと同時にヒステリー球の症状を感じやすくなります。
ということで、肝の機能をサポートできる食べ物をご紹介していきます。
五つの分類には味もあり【五味】と呼ばれています。その五つの味というのは【酸】【苦】【甘】【辛】【鹹】(塩からい)で、肝に対応するのは【酸】味になります。
酸っぱい食べ物ですのでレモンや梅干し、お酢などです。酸味は大量に食べるものでもありませんので、レモンティーや梅干しのおにぎりなど取り入れられる部分で無理なく摂ってください。(肝の気の流れが悪くなりやすい方の中には、お酢などの酸味を大量にとっても平気な方がいらっしゃいます。摂り過ぎも反対に良くないのでお気を付けください)
他にも肝の機能をサポートしてくれる食べ物をご紹介していますので、気になる方は↓↓をご覧ください。
関連記事⇒【喉のつまり】ヒステリー球(梅核気)解消にオススメな食べ物3選
関連動画⇒【喉のつまり】ヒステリー球(梅核気)を解消する食べ物3選
まとめ
まとめますと、ヒステリー球は梅核気とも呼ばれています。
東洋医学では身体中に気が流れていると考えているのですが、ヒステリー球の原因は気の流れが滞ることで、気の渋滞ができてしまって喉元が詰まったような症状が出ると考えています。この気が滞った状態を《気滞》と呼んでいます。
気滞が起きてしまう原因は、ストレスなどにより身体の中の気を循環させる機能が落ちることで気が滞ってしまい起こると考えられています。
ヒステリー球を解消する方法としましては、滞っている気の流れを良くすることになりますので、そのために原因をしっかり見極める必要があります。ここで言う原因というのは、東洋医学的に考えた時にどのツボの調子が崩れて気が滞っているかということです。
東洋医学の考え方として【五臓の働き】というものがあり、五臓とは肝・心・脾・肺・腎の五つで五臓です。ヒステリー球でよくみられるのは肝の働きが悪くなることで起こるタイプで、ストレスによってイライラすると喉が詰まる症状が悪化することもあります。
滞った気の流れを良くするセルフケアは、運動やカラオケや趣味に没頭するなどでストレスを発散することです。滞って風船のようにパンパンになった気を発散させてあげることで、気が流れやすくなるのです。
気の流れを良くするのにおすすめのツボは胸にある【膻中】。膻中を優しく30秒ほど、喉元の方へ向けて押してあげます。
セルフケアとして気軽にできるのが、酸味を摂ることです。酸味は肝のツボをサポートしてくれるため、気を身体全体に流すお手伝いをしてくれます。紅茶をレモンティーにしてみたり、おにぎりは梅干しおにぎりにしてみたり、お酢が合いそうな食べ物にはお酢をかけて食べてみたり、そんな感じで生活に取り入れてもらえるといいですね。
喉のつまり、梅核気でお困りでしたら東洋医学専門の武蔵小杉鍼灸接骨院まで一度ご相談ください。