お灸

【妊娠中】使っちゃいけないツボのご紹介!!その理由を解説します。

みなさん、こんにちは。

神奈川県川崎市武蔵小杉駅で鍼灸接骨院をやっております武蔵小杉鍼灸接骨院 院長の石丸です。

本日もブログをご覧くださって、ありがとうございます。

当院には、妊娠を希望される方のための鍼灸治療があります。そこで、めでたく妊娠された方から『妊娠中に触っちゃいけないツボってあるんですか?』と質問をいただきましたので、今回はその回答としてブログを書いていこうと思います。

インターネットで【妊娠中 ツボ 押してはいけない】で検索をすると有名どころからマニアックなものまで色々と出てきます。今回は、その中でも特に注意した方がいいものを4つ解説していきます。

目次

妊娠期間とは

まずは妊娠期間についてです。

妊娠期間は約10ヵ月あるんですが、その10ヵ月の中には初期・中期・後期の3つに分けられます。

妊娠初期は1~4ヵ月(妊娠16週未満)まだ胎盤が完成してなくて、体調的にもつわりがあったり何かと不安定な時期ですね。

妊娠中期は5~7ヵ月(妊娠16~28週未満)胎盤も完成し、つわりもなくなる方が多く、元気に動ける日が増える時期ですね。少しずつお腹も目立ち始め、胎動も感じられ、赤ちゃんを実際に感じられる頃ではないでしょうか。

妊娠後期は8ヵ月(妊娠28週以降)お腹が大きくなることで、内臓が圧迫されて不調が出やすくなりますね。ホルモンの関係で睡眠が浅くなったりもします。また、この時期に逆子の場合は早めにお灸をしてあげるといいですね。

こんな感じで妊娠期間というのは、3つの期間に区別することができます。

東洋医学的な妊娠期間は10ヵ月を2ヵ月ずつに区切っています。

一期・木期(妊娠1~2ヵ月目)

二期・火期(妊娠3~4ヵ月目)

三期・土期(妊娠5~6ヵ月目)

四期・金期(妊娠7~8ヵ月目)

五期・水期(妊娠9~10ヵ月目)

木期とか火期とか、それ何?と思いますよね。当院の鍼灸治療は、東洋思想を基にした東洋医学で施術の方針を決めていきます。東洋思想の理論には《五行論(説)》というものがあり、自然界に存在しているものは全て、木・火・土・金・水からできているという考え方です。

これを人体にあてはめると

  • 木=肝
  • 火=心
  • 土=脾
  • 金=肺
  • 水=腎

となり、妊娠期間中も一期は肝に関わるツボが良く働き、二期は心に関わるツボの働きが旺盛になると考えています。

押してはいけないツボに関わる妊娠の知っていてほしいこと

押してはいけないツボを解説する前に、妊娠と出産(赤ちゃんがお母さんの身体の外にでること)で知っていてほしいことを説明していきます。

出産と聞くと元気に赤ちゃんが生まれてくるイメージが強いですが、妊娠4ヵ月以降に赤ちゃんがお母さんの身体から出てくることを出産といいますので、死産でも出産と呼びます。

妊娠といえば『お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいる状態』というのは、みなさんも分かると思います。もっと具体的にいうと、母体の子宮の中に赤ちゃんがいるということですね。

当たり前ですが、赤ちゃんは子宮の中にいます。子宮は出産の時に赤ちゃんを子宮の外、お母さんの身体の外に押し出してくれる、とても力のある臓器です。内臓の中でも子宮は、筋肉の層が他の臓器よりも1枚多く三層構造となっています。(胃などは2層構造)

そうなんです、子宮は筋肉の袋なんです。筋肉なので妊娠、出産に関わらず普段から多少は収縮したりしています。しかし、子宮の筋肉の収縮は手足の筋肉とは違い、自分の意思ではコントロールできません。

子宮が強く収縮する=子宮の中の赤ちゃんが外へ押し出される

ということになりますが、これは赤ちゃんの状態によって結果が変わります。

例えば妊娠37週以降に子宮が強く収縮したら、それは正期産(赤ちゃんの身体が、お母さんの身体の外にでても生きていけるくらいに成長した時期)での出産となりますね。これが32週だったら、早産と呼ばれますし、22週未満だと流産になってしまいます。

ここでお伝えしたいことは『子宮が強く収縮する、過度に収縮するということは、赤ちゃんを子宮から出す』と言うことです。

刺激の種類

ツボに対する刺激には種類があります。大きく分けると2つで、ひとつは《元気をプラスにする刺激》です。ふたつ目は《元気をマイナスにする刺激》です。プラスというといいイメージで、マイナスというと悪いイメージがついてしまうのですが、マイナスといっても悪いことではありません。

東洋医学では《補法》(ほほう)と《瀉法》(しゃほう)といわれ、補法は気を補う(プラス)刺激、瀉法は気を抜く(マイナス)刺激です。

どのように使い分けをするかというと、東洋医学では《虚実》(きょじつ)といって、気、血、水の多い少ないを考えます。風船で例えると分かりやすいと思いますが、空気の入っていない状態を『虚してる』とみますので、補って風船を膨らませます。反対に空気がパンパンで割れそうであれば、抜いてゆとりを作ります。ゆとりがあることで、すぐに破裂するリスクは減ります。

このように、調子をみて刺激を使い分けるのですが、今回ご紹介する4つのツボも刺激を間違えると堕胎になると記載されていますので、一度鍼灸師にご相談ください。

妊娠中に使っちゃいけないツボ4つ

本日のメインでもあります、妊娠中に使ってはいけないツボをご紹介していきます。要は、子宮を収縮させる恐れのあるツボということになりますね。

  1. 太衝(たいしょう)
  2. 肩井(けんせい)
  3. 合谷(ごうこく)
  4. 三陰交(さんいんこう)

上記4つ以外にもありますが、今回はこの4つに絞ります。

【太衝】

太衝は足の甲にある肝経(かんけい)と呼ばれる、肝臓のツボのグループに属しているツボです。太衝は陣痛を促進するツボといわれているため、妊娠中は刺激をしない方がいいといわれています。

東洋医学では、肝臓のグループは血流の調整(血の分配)、生殖器、ホルモン、筋肉と深く関わりがあります。筋肉は手足の筋肉だけではなく、内臓の筋肉や目や耳などの感覚器の筋肉にも関係してきますので、筋肉でできた臓器である子宮も影響を受けるのだと考えられます。

また、肝経は身体の血の分配をしてくれるグループにもなります。血流が悪いことが良くないことは、皆さんもお分かりだと思うのですが、血流が良すぎることも身体にとっては刺激となるため、それも子宮の刺激になるといわれています。

【肩井】

肩井は肩にあるツボで、胆経(たんけい)というグループに属しています。肩井は古典(紀元前から書かれていたといわれている医学書)に《堕胎のツボ》と書かれているんですね。古典には《深く鍼を刺して堕胎させた》とあるため、肩井にかなり強い刺激を加えたのではないかと読み取れます。

肩井のツボの効能には、難産と乳汁分泌不全と書かれており、スムーズにお産が進まないときに使うため、子宮の中の赤ちゃんを下げやすく(出しやすく)してくれるツボになります。

それと、乳汁分泌不全にもいいツボということですので、母乳の出をよくしてくれるということになります。母乳はオキシトシンというホルモンの作用で分泌がよくなりますが、オキシトシンには子宮を収縮させる作用もあります。

【合谷】

合谷は手の甲、親指と人差し指の間にあるわりと耳にすることも多いツボですね。肩こり、頭痛、胃腸症状など幅広い症状に効果があることから、万能穴として紹介されているツボですね。

合谷は大腸経(だいちょうけい)というツボのグループに属しています。こちらも肩井同様、古典に《堕胎のツボ》と記載があります。その内容としましては、妊娠中に胎児が亡くなってしまった時に三陰交、太衝を瀉し(しゃし※強めの刺激で元気を抜く)合谷は補う(元気を入れる目的の刺激)ことで亡くなった胎児を娩出(胎児を産み出すこと)させたとのこと。

帝王切開など無い時代に、胎児が亡くなってしまった場合どうやって子宮から出すかというと、自然にでてくるのを待つか何かしらの方法で陣痛を引き起こすしかありません。当時、エコーなどの検査器具がない時代に、どのような方法で胎児の死亡を知ったのか気になるところではありますね。(お腹の触診と脈診だとは思うのですが…)堕胎のツボというと怖いですし、聞こえは最悪だと思いますが、手術などができない時代の人たちが、一生懸命にお母さんの身体の負担を軽くしようと考えて研究したものなんですね。

【三陰交】

三陰交は足の内側、内くるぶしの少し上にあります。脾経(ひけい)というツボのグループですが、名前の通り3つの陰に分類されるツボのグループが交差するツボになります。三陰交で交わる3つの陰に分類されるグループというのは肝、脾、腎の3つです。

月経、妊娠、出産、など女性の味方といっても過言ではない三陰交ですが、実は妊娠中に押してはいけないツボに含まれています。が、これは妊娠期間の時期と刺激量さえ間違えなければ《安産のツボ》になりますので、妊婦さんにはぜひおすすめしたいツボになります。

なぜ《安産のツボ》にもなる三陰交が、妊娠中に押してはいけないツボに含まれているかというと、刺激量が多すぎるとやはり子宮の収縮を引き起こすためです。

女性の鍼灸師が自身で試した話なのですが、透熱灸というゴマ粒ぐらいのお灸を何度も何度も繰り返し右足の三陰交に45分、左足の三陰交に45分お灸してみたところ次の日に生理がきたそうです。月経予定日までは2週間ほどあったそうで、月経の周期も乱れはない方です。1度ではなく、2度試してみたそうですが、やはり次の日から生理が始まったそうです。彼女は妊娠していない時期に試したため、月経という反応でしたが、これが37週未満の妊婦さんだったら危険な状態になると思います。

三陰交は妊娠中期以降に、適切な刺激量でお灸をすると安産のツボになります。鍼灸師はお灸の刺激量を細かく調整ができるので中期に入ったらスタートできますが、ご自宅で市販の物を使うのであれば20週以降で胎動を感じるようになってからにしてください。また、自宅でのお灸の量は、きちんと妊娠や出産に関する知識がある鍼灸師に相談してからやった方が安心だと思います。

《安産のツボ》の効果としては

  • 赤ちゃんの成長と共に大きくなる子宮を柔らかくしてくれるため、赤ちゃんはのびのびとお腹のなかで成長することができる
  • 子宮口などを柔らかくしてくれるため、いざ産むぞ!というときに子宮口の開きが良くなる(常に開きやすくなるわけではなく、お産の時にという意味)
  • 子宮の血流を良くしてくれるため、子宮の中が温かくなる。これは逆子の予防にもなる。
  • 産後の子宮や体調の戻りがよくなる。

など、細かいことを上げるとまだまだあるのですが、代表的なものとしてはこんなところです。

他にも妊娠中は禁忌とされているツボはありますが、鍼灸師の考え方によっては上記のツボやここでは紹介していない禁忌のツボを、妊娠中のマイナートラブルの対応で使用することもあります。また、妊娠5ヵ月まで妊娠していることに気づかず、三陰交にお灸をし続けたりしても、流産することは実はなかったです。中国でも堕胎を目的とした鍼を300人に試したけれど、誰1人として流産しなかったという報告もあります。

ですから、仮に妊娠中に押してはいけないツボを押してしまったとしても、長時間強い力で押し続けたりしなければ気にしなくていいと思います。気にしている方が、赤ちゃんやお身体によくないと思います。

まとめ

まとめとしましては、妊娠期間は初期(16週未満)中期(16週~28週未満)後期(28週以降)と分かれています。

赤ちゃんは37週になると母体の外にでても大丈夫なくらいの成長を遂げるのですが、37週未満で子宮が赤ちゃんを押し出してしまうと流産や早産になってしまいます。

そのため、ツボの刺激などで子宮が収縮してしまう恐れのあるツボを、妊娠中に押してはいけないツボとしていますね。

妊娠中に押してはいけないツボ1つ目は【太衝】、2つ目は【肩井】、3つ目は【合谷】、4つ目は【三陰交】。

三陰交に関しては、妊娠中期以降からは安産のツボとして用いられます。自宅でお灸をするならば、妊娠20週以降で胎動を感じるようになってからした方がいいですね。お灸の量に関しては、知識のある鍼灸師に相談したほうが、安心してお灸ができると思います。

本日は、妊娠中に押してはいけないツボ4つをご紹介していきましました。

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