【耳のつまり】耳管開放症・耳管狭窄症について東洋医学で解説していきます

みなさん、こんにちは。

神奈川県川崎市武蔵小杉駅で鍼灸接骨院をやっております武蔵小杉鍼灸接骨院 院長の石丸です。

いつもブログをご覧くださって、ありがとうございます。

私達の鍼灸院では日頃から様々な症状の患者さんがいらっしゃいますが、今回は

  1. 耳の詰まりなどの症状が出る「耳管開放症」(じかんかいほうしょう)「耳管狭窄症」(じかんきょうさくしょう)と鍼灸治療
  2. 耳管開放症、耳管狭窄症に有効なツボ
  3. おすすめの食べ物

などを順番に紹介していこうと思います。では、よろしくお願いします。

目次

  • ⒈耳管開放症・耳管狭窄症とは
  • ⒉耳管開放症の原因
  • ⒊開放症をどのうように施術するのか
  • ⒋耳管開放症・耳管狭窄症の改善法
  • ⒌腎が弱るサイン
  • ⒍まとめ

⒈耳管開放症・耳管狭窄症とは

まず耳管開放症・耳管狭窄症とはですね。

耳管開放症・耳管狭窄症のこの《耳管》はどこかといいますと、耳と鼻をつなぐ細い管状の通路の事を指しています。耳管は通常時は閉じた状態をキープしますが、唾を飲みこんだりあくびをした時にガバっと開き、また閉じるという動きをします。

高い山やトンネル、飛行機などで耳が詰まるような、こもるような経験をされたことはあるのではないでしょうか?その時に唾を飲み込んだり、あくびをしたりして詰まった感じが楽になると思うのですが、それが耳管が開いたときですね。

耳管の機能は、この開いたときに耳と鼻の圧力を均等にする働きがあるのです。鼓膜の奥の圧力などを調整してくれているんです。

耳管開放症、耳管狭窄症は何らかの原因で、この耳管が開きっぱなしになっていたり、開かなくなることです。耳管が開閉する働きがうまく機能しないと耳の詰まりの症状や自分の声が響いたり、自分の心臓の音が強く聞こえたり、耳鳴りの症状が出たりします。

⒉耳管開放症の原因

耳管開放症・耳管狭窄症の原因の一つにストレスがあげられます。私の経験上も、ストレスが原因で発症している方が大半でした。他にも体重減少や脱水などが原因というケースもあります。

他にもよく聞くのが自律神経失調症で起こることですね。

鍼灸院に来院する耳管開放症・耳管狭窄症の方は、経験上女性が多かったように思います。

⒊東洋医学では耳管開放症をどのように施術するのか

東洋医学では、西洋医学とは違った観点でさまざまな物事を考えていきます。大きく違うところは、目に見えないものに重きを置きつつ症状を観察します。今回の耳管開放症・耳管狭窄症も耳管に直接のダメージがないのに、なぜかストレス(精神的な不調)で耳管の機能がおかしくなってしまいます。

このように目に見えない原因に対応できるのが東洋医学の強いところになります。

その東洋医学で1番重視していることが《気》の流れです。分かりやすく言うと、エネルギーなどと言われることが多いですね。東洋医学での気の考え方は、やはり目に見えないものなのですが、この世に存在するすべての物を構成するものの1つと考えられています。人体では血と水と一緒に身体の中をめぐっていて、それにより健康が維持されています。何らかの理由でめぐりが悪くなると身体や心の調子が悪くなり、症状として感じられるようになります。

もう一つ、東洋医学独特な考え方がありまして、物事を五つに分類して考えるというものです。なぜ五つなのかはこちらでは割愛させていただきますが(とても長くなってしまいますので…)この五つの分類の中に【五臓】(ごぞう)といって、鍼灸ではとても重要なものがあります。

五臓とは【肝】【心】【脾】【肺】【腎】の五つからなり、東洋医学ではこの五臓のそれぞれの働きやそれぞれのバランスをとても重要視します。

先ほど説明しました《気》はこの五臓にも流れていて、気が不足すれば不足した臓器が不調に陥り機能しなくなりますし、反対に過剰になっても臓器は不調になってしまいます。

具体的には、肺の調子が悪いと呼吸が乱れたり、腎の調子が悪いと尿のトラブルが増えたりします。

耳の担当は腎

五つに分類する考え方には、さまざまなものがあります。東洋医学では季節も五つに分けています。【春】【夏】【長夏】【秋】【冬】の五つですが長夏は梅雨といわれたり季節の変わり目の土用と言われたりしています(大分意味は変わってくる気がするけれども…)と、まぁこんな感じでなんでも五つに分けています。

今回は耳管開放症・耳管狭窄症ということで耳の症状ですが、耳は【五官】(ごかん)という分類に入っていて【目】【舌】【口】【鼻】【耳】の五つです。先ほどの五臓の中でも耳と関りが深いのが【腎】になります。

私達鍼灸師はツボを使って施術しますが、身体にはたくさんのツボがあり、この【腎】のツボも身体のいたるところにあります。何らかの理由で下がってしまった【腎】の機能を上げるために、鍼やお灸を使ってアプローチして耳管開放症・耳管狭窄症を改善させていきます。

腎の機能が下がる理由

耳管開放症・耳管狭窄症の原因はストレスや自律神経失調症と書きましたが、東洋医学では【腎】の機能が下がることで起きると考えています。

ここでは東洋医学での腎の機能となぜそれが下がってしまうのかについて解説していきます。長くなりますので、改善法だけが知りたい方は次の項目をお読みください。

東洋医学の腎の作用

東洋医学の腎は西洋医学の考え方と少し違ってきます。水分代謝に関わること、生命力と直結する、成長や生殖と関係する、耳と外生殖器と肛門に関係する、髪に影響する、呼吸の吸気に関係するなどなど。西洋医学の考え方とは、重なるところもありますが全く関係ないことも多いです。この他にも身体を温めたり、骨を強くしたり、腰の症状と関係したりと一見腎とは関係なさそうな部分にも東洋医学では腎とつながりがあると考えています。

腎を傷つけるものは

この東洋医学で考える腎はどんなことで機能が低下するのでしょうか?

上でも出てきました五つの分類で【五悪】(ごあく)というものがあります。これは気候や環境などをあらわしたもので【風】【暑】【湿】【燥】【寒】の五つです。この中で腎に影響を与えやすいのは【寒】です。身体を温める作用がある腎は、寒くなるとたくさん働かなくてはいけません。そのため寒い時期や寒い場所などに長時間いると、腎は疲弊してしまいます。

五つの分類では【五労】(ごろう)という分類があり、これは【久行】【久視】【久坐】【久臥】【久立】の五つです。久しいと書いてあるのですが、この五つの意味は『~しすぎる』ということです。腎と関係するのは【久立】で立ちっぱなしのことを指します。《久しく立てば骨(こつ)を傷(やぶ)る》と言われ立ちっぱなしでいると骨にダメージがありますという意味です。骨のダメージは結果的に腎の元気を消耗するため、腎を傷つけるものと考えます。

このように日常生活の中でも腎の元気を減らしてしまうことがあり、東洋医学的に腎の機能が弱まることで耳管開放症・耳管狭窄症の症状が出やすくなると考えています。

関連記事⇒【腎機能】東洋医学からみた腎の負担になる生活習慣3選を紹介します。

関連動画⇒【注意!】腎臓が悪化する生活習慣3選を紹介します

⒋耳管開放症・耳管狭窄症の改善法

耳管開放症・耳管狭窄症の改善法の一つに生活習慣の見直しがあります。睡眠をしっかりと取り、適度に運動をしてバランスの取れた食事がベースになります。原因がストレスや自律神経失調症と言われているものには共通しますが、まずは身体の調子を整えるために自律神経のバランスを戻すことが目的になります。ストレスも自律神経も共通するところもあり、自律神経が正しく働いているとストレス耐性もしっかりあったりします。反対に過度なストレスにより、ストレス耐性が落ちているときに自律神経は乱れやすくなります。

ですので耳管開放症・耳管狭窄症に限らず、原因がストレスや自律神経失調症と言われているものは生活習慣を見直して規則正しい生活にすることで、自律神経の働きが整いストレス耐性も高まり症状改善につながると考えています。

それではここからは、東洋医学的な原因に対して有効な対処法もご紹介していきますね。

東洋医学では【黒い食べ物】が腎の機能を上げてくれると言われているますので、黒い食べ物を意識的に食べることをオススメします。

具体的には黒豆、黒ゴマ、海苔、わかめ、昆布、もずくなどですね。これらの食材を普段の食事にプラスしてもらうのがいいと思います。たくさん食べればいいという問題でもないので、おにぎりは海苔が巻いてあるものにするとか、お味噌汁はわかめが入っているもの、サラダは海藻サラダにしてみるとか、その程度でも構いません。

また、どのような時に耳管開放症・耳管狭窄症の症状がよく出るのかなども、とても重要なポイントとなります。ストレスがかかると症状が出やすくなったり悪化したり、睡眠不足だとひどくなったり、緊張すると耳がこもりはじめたり、食べた後にひどくなったり、寒さや冷えで症状が目立ち始めたりなど、耳管開放症・耳管狭窄症の症状の波を知ることも症状改善には大切です。

波を知ることができれば、定期的にストレスを解消することで症状が出にくくなることもあるでしょうし、お腹の機能を上げるお灸をすることで解決したり、冷え対策で症状が目立たなくなることも十分に考えられます。

耳管開放症・耳管狭窄症にオススメのツボ

耳管開放症・耳管狭窄症でおススメのツボは耳の裏にある【翳風】(えいふう)です。

ツボの場所は耳たぶ裏の窪んだ所です。詳しく言うと、耳たぶの裏側に乳様突起という頭の骨の突起があるんですね。耳たぶの裏らへんの首と頭の境目あたりです。この突起の前の凹みが翳風になります。

ここを優しく気持ちいいぐらいにツボ押しするのがおすすめです。息をゆっくり吐きながら、痛くない強さで押してください。5秒くらい押すのを、1日3セット。お時間のある時や症状がでそうなときにやってみてください。

このツボだけで耳管開放症・耳管狭窄症の症状を改善させるのは難しいかもしれませんが、症状改善のサポート的にお使いください。

私も実際の施術で使うことも多く、鍼灸院では鍼をしますが、押すだけでも何かしらの効果は期待できるのではないかなと考えています。

⒌腎が弱るサイン

東洋医学の腎の機能と耳管開放症・耳管狭窄とのつながりは何となくお分かりいただけたでしょうか。細かいことはさておき、そんなこともあるんだなと思っていただければ幸いです。

事前に腎が弱っていることに気が付くことができたなら、症状が出るより先に対処法を実践することもできます。ここでは、東洋医学的に腎が弱っているときのSOSのサインを解説していきます。

腎が弱ると夜中におしっこの回数が増えることがあります。普段夜中にトイレに起きない方でも、1回2回と起きてしまったり、もともと夜間頻尿がある方は普段より回数が増えたりします。結果的に寝不足になってしまうこともありますね。夜間頻尿以外にも、暑くもないのに寝汗をかくことも考えられます。しかも、寝間着がびっしょりになるくらいの寝汗です。夜間頻尿も寝汗も、本来はゆっくり寝ている時間なので水分代謝が落ち着くはずなのに、腎の元気がなくて身体から水分が出て行ってしまうと考えます。

次に腎が弱るとあらわれる症状としては耳鳴りですね。耳と腎につながりがあることは上の方でも書きましたが、腎が弱ったとき特有の耳鳴りがあります。それはセミが鳴くようなジージーという低い音の耳鳴りです。このような耳鳴りも腎の弱りで出ますので、出た時は要注意ですね。(金属音のような高温のピー、キーンというような耳鳴りは肺の弱りなので結果的に自律神経が乱れる前兆だったりもします)

3つめの腎が弱ったときの症状は、腰に力が入らなくなることですね。腰には腎の気が集まっていると考えられていて、実際に腎に関係する大事なツボも腰付近に集まっています。そんな腰に力が入らないというのは、腎の気のめぐりが悪くなり腎の調子が悪いSOSと考えます。

4つめの腎が弱ったときの症状としては口の渇きがひどくなることです。東洋医学では唾液と腎の元気は関係していて、腎が元気旺盛だと唾液の分泌量は増えます。しかし腎の元気がなくなってくると、唾液の分泌量は減っていき、口の中がぱさぱさしてしまったり、飲み物がないと食べ物が食べにくくなります。先の方に、腎は生命力とつながりがあることは記載しましたが、若い方が生命力は旺盛で年齢とともに生命力が下がっていくと考えます。これは腎の元気と比例していると見ますので、お年寄りは唾液が減り乾いた食べ物は食べにくくなるのは納得です。

5つめの腎が弱ったときの症状は精神的なものになります。五つの分類の中に感情を分けたものがあり【五志】(ごし)と言います。(五志だけではなく七情というものもよく一緒に出てきます)五志は【怒】【喜】【思】【憂】【恐】の五つです。(七情だど《怒》《喜》《思》《憂・悲》《恐・驚》で七つになります)腎が弱ると恐れやすくなると考えますので、ビクビクしやすかったり、不安な気持ちが出やすくなったりします。普段より不安感が強い場合は腎が弱っている可能性がありますね。(身体が弱ることで特定の感情が表れやすくなることが東洋医学では起こりうると考えています)

関連記事⇒【腎臓の弱り】東洋医学から見た腎臓が弱ってるサインとおススメの食べ物やツボを紹介します

関連動画⇒【重要】腎臓が弱ってるサインと対処法やツボを紹介します

⒍まとめ

長々と耳管開放症・耳管狭窄症とそれにかかわる腎のツボについて書いてきました。

まず耳管開放症・耳管狭窄症の原因はストレスや自律神経失調症が挙げられています。東洋医学的な原因は《腎》の弱りと考えることが多いです。

東洋医学では《腎》と耳には関係があり、腎の元気が弱くなると耳の不調が出やすくなります。腎を弱らせる原因は様々あり、寒さや冷え、立ちっぱなしで骨に負担がかかるなど、一見腎とは関係ないようなことが挙げられます。

耳管開放症・耳管狭窄症の解消法としては、まず生活習慣を整えることです。よく様々な症状の原因としてあげられるストレスや自律神経失調症ですが、これらの基本はまずしっかりと睡眠をとり心身ともに休むことです。自律神経が乱れるような体調ではストレス耐性も低くなりますし、逆も然りでストレスがかかりすぎると自律神経が乱れます。ですので、まずは心身をしっかり休めることが第一になります。

東洋医学的な観点からできることは、腎が元気になることになります。黒い食べ物が腎の機能を上げてくれるといわれていますので、黒豆、黒ゴマ、海苔、わかめ、昆布、もずくなどを積極的に食事に取り入れていただくのがおすすめです。

耳管開放症・耳管狭窄症のセルフケアとしてご紹介するツボは《翳風》という耳たぶの後ろ、頭と首の付け根あたりにあるツボになります。翳風を1日3回優しく押すことです。

腎が弱っているサインとして、夜中のトイレの回数が増えたり寝汗をびっしょりとかいてしまう、低い音の耳鳴り、腰に力が入らなくなる、唾液が減る、不安感が強くなったり物事に驚きやすくなることがあり、これらの症状が出始めたら特に身体のケアをされた方がいいですね。

本日ご紹介したセルフケアの方法は日常的にやっていただいても大丈夫ですので、耳管開放症・耳管狭窄症でお困りの方は是非試してみてください。





耳管開放症でお困りの方は一度武蔵小杉鍼灸接骨院までご相談ください。

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